生まれる前のお話 ⑥
2016年のある日、カナダ先住民族であるクリー族の方々が執り行うパイプセレモニーに東京で参加する機会があった。
そこでクリー族に残る様々な言い伝えを聞いたのだが、大変興味深いことに、魂はどのように生まれてくるかという話を彼らから直接聞くことができた。
以下、クリー族の伝承より。
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spirit (魂) たちが列をなして、人として生まれる順番を待っている。
自分の順番が来ると、spiritは自分の両親を選ぶ。
母親のお腹の中で体ができ始めてから7週目、Creator(創造主)から、これから迎える人生の全体を見せてもらう。
そしてCreatorは尋ねる。
「Do you want to stay? (この人生を生きたいですか?)」
そこでYesと答えると、spiritとspirit world(たましいの世界)をつないでいるコードが切られ、お腹の中でさらに体が成長していく。
陣痛が始まり、いよいよ誕生が近づくと、ふたたびCreatorが尋ねる。
「Do you want to stay? (生まれたいですか?)」
Yesと答えると、いよいよspiritは赤ちゃんとして生まれてくる。
生まれて最初の一年、赤ちゃんは周りの世界を熱心に観察する。
親族をみて、この世の仕組みを見て・・・
年寄りたちは、赤ちゃんがメッセージを携えてきていないかをよく見ている。
赤ちゃんはしばしばspirit worldからのメッセージを携えてやって来ている。
生まれて一年、みたびCreatorが尋ねる。
「Do you want to stay? (この世界に残りたいですか?)」
この時もまた、spiritはそこにとどまるか、元の世界へ戻るのかを選ぶことができるのだ。
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(クリー族のノラ、ケネッチと一緒に)
生まれる前のお話 ④ でも書いたように、生まれる前の世界も死んだ後の世界も一つではなく、多層的な世界だと私は考えている。
だからクリー族の伝承と私の記憶と、また他の出生前記憶・胎内記憶を持つ子どもたちの話を比べると相違点は出てくるのだけれど、どれか一つだけが正しいというふうには私は考えない。
クリー族の伝承と私の記憶で共通しているのは、生まれてくる前に、すでに魂はどのような人生を生きるのかを知っているということ。そして妊娠が始まってもなお、生まれるかそれとも止めるのかを選べること。さらには生まれた後にも、そのまま物質の世界に留まるか、それとも戻ってくるかを選択できること。
私自身も、谷村有希としての人生の提案を受けてから、ずっと選択の自由を与えられていた。
義務であったことなど一度もなかった。
「カルマの転生」という言葉はともすると、「罰」とか「逃れられない宿題」のように捉えられるけれども、私はそうは考えない。生まれる前も、生まれた後も私たちには自由意志があって、その自由意志という(私にとっては)宇宙一尊いものは常に守られている。
本当はカルマとは、必修科目ではなく、自由選択科目なのだ。
生まれた環境も、人生に起きる出来事も、「すべては自分の選択の結果だ」と丸ごと責任を取ることを決めると、そこには圧倒的な自由と力が生まれる。被害者というものも、もはや存在しえなくなる。
調和と成熟の社会を目指す上で、出生前記憶を語り合うということは不可避なのではないだろうか。
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