ファーストコンタクト⑦(完)
私と同じことをしている人がいる。
人生を終えようとする人の痛みや悲しみを、歌で慰めようとしている人がいる。
その発見と安堵に、自分の輪郭が滲んでしまうくらい私は泣いていました。
私は長年自分のことをひどく恥じていたので、それまでその話を人にすることはありませんでしたが、私の口から16歳の時の出来事が封を切ったように語られていきました。
すると施設長は言いました。
「きっと叔父さんは谷村さんに歌って欲しかったんだね」
自分の深いところから湧いてきて、どうしても止められなかった望みを、こうして理解してくれる人が東京にいました。あまりに苦い記憶として私の中に残っていた出来事に新しい光が当てられて、そうして私は初めて、当時の自分を許し始めました。
あぁ、やっぱり、私はここに来るべきだったんだ。
(ホスピスにて。入居者さんの部屋の壁に貼られた写真)
見学の日から数日後。
私はその施設へボランティアとして通い始めました。
それから「スタッフになりませんか」と声をかけてもらって、最終的には常勤の職員として働くことになりました。
心配していた資格も経験も何一つ必要ありませんでした。
そこで働くのに必要なものを、すでに私はハートの中に持っていました。
恥と憎悪で雪だるまのように膨れあがっていた私のセルフイメージは、このホスピスで出会うたくさんの人たちとの関係の中で、それからゆっくりと溶けていくことになります。
地下鉄の中で轟(とどろ)いた声。
「死を待つ人の足を洗う」と私に言った声。
揺るぎなく確信に満ちたあの声が私を導こうとしていたのは、単に足を洗うという行為ではなく、私が私自身を回復するのに必要な出会いとチャンスがあふれた場所でした。
目に見えない大きな愛がこの人生で働いていることを、もう私は認めざるをえませんでした。
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