生まれる前のお話 ①




谷村有希として生まれてくる前の記憶は、私がこの人生を生きる上での土台である。

だからまずは最初の投稿として、そのことを綴ろうと思う。


生まれてくる直前、私はよくこの地球を眺めていた。

腹ばいになって(物質としての体はないのに「腹ばい」と言う身体感覚があるのが面白い)

いつまでもいつまでも飽きずに地球を見ていた。


地球上に存在するすべてのものに魅了されて、

植物も動物も人も人工物も何もかもに心惹かれ、

おおよそ忌み嫌われるもの、ネガティブと呼ばれるようなもの、

例えば恨みだったりそねみだったり怒りだったり戦争だったり、

そういったものにすら夢中になって愛を感じて、ただただ


「だーい好き、だーい好き、だーい好き・・・(リピート)」


という気持ちをエンドレスにこの星の全てに向けていた。


いいものわるいもの、という線引きもなく、

美しいもの美しくないもの、という判断もなく、

私を惹きつけないものは何一つとして地球上に存在しなかった。


実際のところ、私がこの星に感じていたものは

「愛」という言葉にも

「大好き」という言葉にも収まりきらないもので、

言葉はなんて小さな器なんだろう、と思う。

シロナガスクジラを子どものお弁当箱に詰め込もうとしているようなものだ。


それでもなんとか言葉にしてみようとすると

「だーい好き、だーい好き、だーい好き・・・(リピート)」

となるのである。



(続く)

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